ぼちぼちメモ

F1等の趣味や日常生活での気軽なメモです。小説や詩をまとめた「コトゴトの散文」というブログもやっています。「月の砂漠のかぐや姫」という長編物語も連載中です。

インド映画「ダンガル きっと、強くなる」を観てきました

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 みなさん、こんばんは。くにんです。

 GWもいよいよ後半ですね。皆さんはいかがお過ごしでしょうか。僕はGW前半に久しぶりに映画を観てきました。

 

「ダンガル きっと、強くなる」を観てきました。ええ、インド映画です。

 

 映画といえば、邦画、ハリウッド映画、香港映画と色々ありますが、インド映画という一大ジャンルがあるのをご存知でしょうか。

 実は、インドは年間映画製作本数も映画館観客総数も世界最大級の一大映画大国です。人口も多いですし、テレビ等の普及率も先進国に比べれば低いので、映画が民衆の娯楽なんですね。その隆盛ぶりから、アメリカの「ハリウッド」をもじって、インド映画界は「ボリウッド」(インドの代表都市ムンバイの旧名称ボンベイとハリウッドから)とも呼ばれるほどです。

 その最大の特徴は、ストーリーの途中に加わる大人数のダンサーによる舞踏シーンです。登場人物の心象風景やストーリー展開を歌と踊りで表現する手法は、まさにミュージカルです。

 

「ダンガル きっと、強くなる」は実話を基に作られた映画です。

gaga.ne.jp

(あらすじ)

 レスリングの国内チャンピオンになったものの、国の後押しが少なく生活のために夢をあきらめた元レスラーは、自分の息子に夢を託そうとします。

 しかし、生まれてくる子は、女の子ばかり。

 落胆して夢をあきらめかけたその矢先、娘が、ケンカで近所の男の子をボコボコにする事件が起きます。娘にレスリングの才能があると見た父は、娘に世界大会での金メダルの夢を託します‥‥‥。

 

(くにんの感想:ネタばれなし)

 王道のストーリーですが、非常に感情移入しやすく、素直に映画を楽しめます。特に、「頑張ったね、良かったね」ということに涙腺が緩くなってきた、子育て世代のお父さんお母さんは、終盤は身を乗り出して画面に釘付けになることでしょう。そして……。

 また、この映画にはレスリングの試合がたくさん出てきますが、どれもすごくスピーディーで迫力があります。そのせいもあって、2時間20分の上映時間があっという間に過ぎてしまいます。スポーツ観戦に熱中していて時間が過ぎてしまうのと同じ感覚ですね。さすが、インド映画史上で、世界で一番興行収入をあげた映画です。ご覧になれば、きっと楽しめると思います。お勧めの一本です。

 ただ、インド映画の特色である、群衆ダンスが出てくるところはありません。それを期待される方は、本作ではなく「踊るマハラジャ」など別のインド映画の方がよろしいかと思います。

 

 

 

(くにんの感想:ネタばれあり)

 ※画像下に記載の感想は、ネタばれを含みます。

 

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 前述のとおり、とても良くできた映画で、楽しませていただきました。

 主人公姉妹の従兄(一般人)というキャラクターを置くことによって、一般人と主人公姉妹の対比が鮮明になり、感情移入がしやすくなっていると思います。レスリングシーンの迫力、面白さも、それだけで一見の価値ありです。

 

 また、ラストで父親が監禁されてギータにアドバイスを送ることができないという演出は、父親と言えど他人のアドバイスに頼るのでなく、子供が自分の力で困難を乗り越えていくという、「成長」を際立たせるもので素晴らしいと思います。ハリウッド映画ならば父親が監禁状態を脱出して、子供のピンチを救うのかも知れませんが(笑)、「成長」という面から見ると、今回の演出の方が良いと僕は思いました。

 

 ただ一点だけ残念なのが、父親は当初自分の夢を果たす、ただそれだけのために娘にレスリングを強います。(国の代表選手への不理解を自分の手で何とかしたいという思いもありますが) 

 それに反発する娘たちがこんな父親はいらないというシーンで、友達が「インドの女性は立場が低く子供を産む道具のように扱われている。あなたたちの父親は違う。貴方たちのことを考えている。私はそんな父親が欲しい」と諭します。これを受けて、娘たちは父親を見直し、練習に打ち込みます。さらに、ラストの試合の前に、父親が「この試合には地位の低い女性の全ての希望がかかっているから負けられない」というような言葉を口にします。

 しかし、当初の「自分の夢を叶える」から、「女性(子供達)の地位の向上」への父親の意識の変化はどこにも描かれていないので、とても唐突です。もともとインド映画は非常に長いので、ひょっとしたら、どこかでカットされちゃったのかなと思うくらいです。この縦軸のブレはかなり目立つものですので、見逃されていたとは考え難いのですが‥‥‥。

 

 とはいえ、とても楽しい満足度の高い映画です。上映の映画館及び期間は限られていますが、映画館で見る機会がなければ、是非DVD等でお楽しみください。