アメリカグランプリ後のニュースで、F1のスターティンググリッドを3列化する案が検討されていると報じられていました。headlines.yahoo.co.jp
『Bild(ビルト)』によれば、将来的にはF1がサーキットのコース幅などに応じて2列もしくは3列グリッドを採用することになるかもしれないという。これはスタート時の競争をさらに激化させること、そしてクラッシュ発生のリスクを高めることが目的だという。
とのことですが、F1にファンを呼び込むどころか、まったくの逆効果ではないでしょうか。
多くのスポーツでは、贔屓チーム(選手)が劣勢であったとしても、試合の最後まで応援することができます。
しかし、F1ではリタイアしたマシンは2度とコースに現れることはありません。
1年間楽しみにして、たくさんの時間とお金をかけてサーキットに訪れた観客の贔屓チーム(選手)が、ようやく始まったレースの開始数秒で退場・・・・。
はたして、来年のレースまでF1を楽しみに待っていてくれるでしょうか。
今年の第5戦スペインGPでは、応援するフェラーリのライコネンがスタート直後の多重クラッシュでリタイアしてしまい、泣きじゃくる少年の姿が放映されました。彼は、フェラーリチームとライコネンの素晴らしい対応で救われましたが、グリッドを3列化することでクラッシュのリスクを高めるということは、少年と同じように心を痛め、落胆するファンを人工的に増やす、ということになります。
「追い抜きの機会を増やしてレースを魅力的にする」という目的は理解できますが、スタート直後のリタイアのリスクを高めるこの方法には賛成できません。
リタイアの危険もレースの一部ですが、もともと、予選で一番速かった車から順番に並んでスタートするのですから、追い抜きが少ないのもレースの一部なのです。
リバティ・メディアには、メカニカルグリップを高めスリップストリームの恩恵を増やす(他車の後ろについた時のメリットをたかめて追い抜きを増やす)などの方法を、地道に検討されることを願います。(これはテクニカルワーキンググループの仕事かもしれませんが・・・)