ザッ、ザッ、ザッ。
よしよし。これぐらい掘ればいいか。よいしょ。
みなさん、こんばんは。恥ずかしいことがあるとすぐに穴を掘って隠れてしまう、アナホリフクロウこと、くにんです。
今回は、前回投稿した液晶タブレットを使用して描いた、初めてのデジタルイラストです。
液晶タブレットを使うこと自体は、そんなに難しいことはなかったです。手元の液晶画面をタッチペンで触ればそのまま入力できるので楽です。若干、斜めからのぞき込むと、ペン先と入力位置に差(視差)が生じたりもしますが、画面を拡大縮小できますし、なにより、そこまで細かいテクニックがあるわけでないですしね。(笑)
僕を悩ませたのは、ハードでなくてソフトです。ペイントソフトです。何をどうやればペン先を変えられて、色を変えられて、レイヤーを作れるのか等々、何をするにもやり方がわからないという状態でした。
途中から、ネット上にペイントソフトのヘルプを発見したので楽にはなったのですが‥‥‥。紙の説明書が付かないのは仕方がないとして、ネット上のどこに詳しい操作方法が載っているかの案内が欲しかったです。ペイントソフトはプロダクトキーをもらってダウンロードするだけなので、全くそのような情報がなかったですし、ソフトメーカーの公式HPもその辺の配慮があまりなされていないように感じました。
と、いうことで。こちらです。
一生懸命描きました!
【おまけ】
どこまでも続く赤茶けた礫砂漠(ゴビ)の台地。ところどころに、無造作に神様が放り投げたように散らばっている草地。遠くでは羊たちがのんびりと草をはみ、近くでは山羊たちが乳を絞られるため並んでいます。
山羊の列の先頭では、筒袖の上下に頭布という遊牧民族独特の姿をした少年が、一心に山羊の乳を搾っていました。
少年の傍らには、白黄色の筒袖上下に短い革の上着、そして頭布を身に着けた少女が、熱心にスマホを眺めながら、仮柵にもたれていました。
この少女は、遊牧民族月の民の翁が、竹林で拾った赤子を大事に育てた娘です。彼女は皆に「月の巫女」、「竹姫」と呼ばれていました。そして、山羊の乳しぼりをしている少年は、竹姫の乳兄弟で、竹姫の最も身近な存在でした。皆からは、その身軽さから「羽」と呼ばれていました。
「なんだよ、さっきからスマホばっかりいじっているけどさ、少しは竹も手伝ったらどうなんだ」
いつもなら、自分から積極的に仕事の手伝いをする竹姫が今日は全く動こうとしません。始めは、特に気に留めていなかった羽でしたが、スマホから全く注意をそらさない竹姫に、とうとう、痺れを切らしてしまいました。
「ねえ、羽」
竹姫は、静かに、羽に話しかけました。その口調には、いつもの朗らかさがありません。むしろ、聞く者の背筋を凍らせる冷たい何かが、どこかに潜んでいるかのような声でした。
「どうしたんだよ、竹。なんか気になることがあったのか」
でも、山羊の乳しぼりの手を止めることがない羽には、そのわずかな違いに気づくことができなかったのでした。そして、羽は竹姫に話を促すことによって、自らの処刑執行命令にサインをしてしまったのでした。
「あのね、このブログに上がっているイラストなんだけど、わたしがモデルなんだって。どう思う?」
「いいんじゃないのか、自分のイラストを描いてもらえるなんて、ありがたいよ、俺なんて‥‥‥ん?」
ああ、羽よ、女性の「わたし、芸能人の誰に似ていると思う?」という質問や「わたし、何歳ぐらいに見える?」という質問には、必ず底無しの落とし穴が隠されているのです。そして、もちろん、竹姫のこの質問も同じだということに、なぜ気づかないのですか‥‥‥。
羽が、自分の周りの空気がやけに冷たくなったことに気が付いた時には、もう彼が逃れる術は残されてはいませんでした。
「ねぇ‥‥‥羽」
「あ、はいっ」
「わたしって、『その姿の麗しいことは暗い夜の中で草原を照らす満月のよう、その声の清らかなことはオアシスに湧き出る祁連山脈の雪解け水のよう』(第4話参照)な少女でなかったっけ」
「う、うん」
「え、聞こえない」
「サー、イエッサー!」
いつの間にか、羽は、山羊の乳しぼりの手を止めて、竹姫の前に直立不動の姿勢をとっていました。
「では、もう一度、このイラストを見て答えてくれる、羽?」
羽は竹姫の冷たい瞳に射すくめられたかのように感じ、思わず胸を押さえました。
あ、生きてる、まだ、生きてるんだ俺。
自分の心臓の鼓動を確認できた羽ではありましたが、窮地に陥っていることには変わりはありません。
これが、遊牧の経験を豊富に持つ、羽の父である大伴であれば、軽く肩をすくめるだけで竹姫への答えとするでしょう。
また、幅広く交易を行い各国の行商人と常に接触している肸頓族の阿部であれば、何のてらいもなく「このイラストがあなたの美しさをどれほど表現できているか、考えるだけでもあなたの美への冒涜になります」と語るでしょう。
しかし、冒頓で純情な少年に過ぎない羽には、もう何を言えばいいのか、何を竹姫が言って欲しいのか、何もわからなくなっていました。
「そ、それは‥‥‥」
「それは、何?」
足元が、足元の台地が崩れる、砂になる、吸い込まれる‥‥‥。
羽は、自分の世界が今、崩壊していくのを感じていました。
本編「月の砂漠のかぐや姫」は紀元前220年ぐらいが舞台なので、スマホはありません(^-^;
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